クラシック音楽の評論家の中で、宇野功芳氏ほどはっきりと論評する人はいなかっただろう。だからそんな宇野さんの歯に衣着せぬ論評を嫌う人もいたけど僕はもちろん大好きでした。そんな宇野さんの生前の活躍を偲んで、敬愛を込めて宇野さんの活動を振り返ってみたいと思います。
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宇野功芳氏(1930-2016)は、日本のクラシック音楽の評論家でした。
宇野氏は評論家生活を60年以上に渡って活動されていました。
その批評は歯に衣着せぬもので、時には痛快で、時にはむかつき、時には感動し、笑ったり涙したものです。
僕は、中学生の時から宇野氏の評論に触れ、レコードを選ぶ際は、必ず宇野氏の評論を参考にしたものです。
6月もあと数日となりました。
今年の6月は、梅雨明け前から異常な暑さで、100年に1度どころか150年に一度の暑さです。
まあ、こんな時は涼やかにモーツァルトでも聴きたいですね。
さて6月10日は、宇野功芳氏の命日でした。
2016年6月10日に86歳で死去。
そんなこともあり、宇野氏が愛したモーツァルトの名盤をご案内します。
モーツァルトの数多い交響曲の中でも短調で書かれたものは、第25番と第40番の2曲のみ。共にト短調で、しかもモーツァルトの全ての作品の中でも印象的な傑作です。
第25番は、弱冠17歳の時の作品ですが、緊密な構成と全曲にみなぎる迫力と効果的なオーケストレーションの素晴らしい作品です。
映画『アマデウス』の冒頭でも鳴り響き思わず映像に引き込まれた効果的な使い方が忘れられません。
宇野氏は、ワルター&ニューヨーク・フィルを第一に推しています。
56年のライブで、手に入りにくい録音ですが、2022年1月28日に復刻盤としてリリースされたのが嬉しいです。また後述する第38番"プラハ"も収録されているので嬉しさ倍増です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第25番 ト短調 K. 183
Symphony No. 25 in G Minor, K. 183
1.(07:40) I. Allegro con brio
2.(04:03) II. Andante
3.(03:35) III. Menuetto - Trio
4.(04:45) IV. Allegro
total(20:03)
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
ニューヨーク・フィルハーモニック - New York Philharmonic Orchestra
録音:1956年3月11日 カーネギー・ホール、ニューヨーク
※表記演奏時間は、54年12月にコロンビア響を指揮した時のデータです。
モーツァルト: 交響曲集<限定盤> ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィルハーモニック
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第25番 ト短調 K. 183
Symphony No. 25 in G Minor, K. 183
1.(04:44) I. Allegro con brio
2.(04:18) II. Andante
3.(03:54) III. Menuetto - Trio
4.(04:03) IV. Allegro
total(16:59)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 - Vienna Philharmonic Orchestra
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
録音: 26 July 1956, Live recording, Salzburg Festival, Austria
モーツァルト:交響曲第40番&第25番 ブルーノ・ワルター ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
合わせて、同年56年にザルツブルク音楽祭でのウィーンフィルとのライブも素晴らしいです。
完成は、1786年12月6日。プラハで上演された歌劇『フィガロの結婚』が大成功だったので、指揮者自身の指揮で上演して欲しいとプラハから依頼され、その前のコンサートで披露するために作曲されました。
個人的には、最後の三大交響曲よりも好きな曲で本当にワクワクさせてくれる作品です。
宇野氏一推しは、シューリヒト&パリ・オペラ管。
速いテンポで余計な色づけを排し、一息に運んだ演奏のようだが、即興的な表情の移ろいがすばらしく、そのニュアンスは千変万化している。まさに名人芸であり、これぞ理想のモーツァルトと絶賛したいと記しています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
Symphony No. 38 in D Major, K. 504, "Prague"
1.(09:47) I. Adagio - Allegro
2.(08:35) II. Andante
3.(05:18) III. Finale: Presto
total(23:40)
パリ・オペラ座管弦楽団 - Paris Opera Orchestra
カール・シューリヒト - Carl Schuricht (指揮)
録音: June 1963, Paris
モーツァルト:交響曲≪リンツ≫≪プラハ≫・第40番・≪ジュピター≫<タワーレコード限定>
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交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
Symphony No. 38 in D Major, K. 504, "Prague"
1.(16:40) I. Adagio - Allegro
2.(11:37) II. Andante
3.(07:52) III. Presto
total(36:09)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 - Vienna Philharmonic Orchestra
リッカルド・ムーティ - Riccardo Muti (指揮)
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」,第38番「プラハ」(ウィーン・フィル/ムーティ)
ムーティの快適で快い前進性があり、オーケストラの美感の素晴らしさが堪能できる名演。
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交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
Symphony No. 38 in D Major, K. 504, "Prague"
1.(09:15) I. Adagio - Allegro
2.(09:00) II. Andante
3.(04:50) III. Finale: Presto
total(23:05)
ニューヨーク・フィルハーモニック - New York Philharmonic Orchestra
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
録音: 6 December 1954, New York, United States
モーツァルト: 交響曲集<限定盤> ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィルハーモニック
上記のシューリヒトを正反対のロマンティックな名演。
宇野功芳は、ハイドンの交響曲に関して、一般的に人気の高い「驚愕」「軍隊」「時計」よりも地味な第88番「V字」と第96番と第104番をベスト3に挙げたいと著書に記しています。
その中でも第88番は、音楽的な充実感が素晴らしく何度聴いても飽きが来ないとも記しています。
CDでは、アーベントロート、クナッパーツブッシュを挙げています。
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン - Franz Joseph Haydn (1732-1809)
交響曲第88番 ト長調 「V字」 Hob.I:88
Symphony No. 88 in G Major, Hob.I:88
1.(--:--) I. Adagio - Allegro
2.(--:--) II. Largo
3.(--:--) III. Minuet: Allegretto
4.(--:--) IV. Finale: Allegro con spirito
total(--:--)
ライプツィヒ放送交響楽団 - Leipzig Radio Symphony Orchestra
ヘルマン・アーベントロート - Hermann Abendroth (指揮)
録音: 1956年
大編のオケを使った旧スタイルだが、テンポが速く、リズムは弾み、颯爽としており、古臭さを感じさせない(宇野功芳)
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フランツ・ヨーゼフ・ハイドン - Franz Joseph Haydn (1732-1809)
交響曲第88番 ト長調 「V字」 Hob.I:88
Symphony No. 88 in G Major, Hob.I:88
1.(06:48) I. Adagio - Allegro
2.(05:52) II. Largo
3.(04:34) III. Minuet: Allegretto
4.(04:39) IV. Finale: Allegro con spirito
total(21:53)
ヘッセン放送交響楽団 - Hessisches Rdio Symphonie Orchester Frankfurt
ハンス・クナッパーツブッシュ - Hans Knappertsbusch (指揮)
録音: 20 March 1962, Vienna, Austria
ハンス・クナッパーツブッシュの芸術 with レジェンダリー・オーケストラ
両端楽章を極端なスロー・テンポで演奏しては聴衆を驚かせていたクナッパーツブッシュの演奏の中でも特にスローテンポ。
しかしひびきに立体感があり、意味深く、歌が充溢し、本当のゆたかな音楽として聴こえてくる(宇野功芳)
運営者
1957年、富山市生まれ。小学生の時、NHK交響楽団を指揮する岩城宏之氏を観てから、クラシック音楽に興味をもち、今日まできました。
現在、LP、CD、カセットテープを含めて約1000枚を所有しています。
好きな作曲家は、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスと硬派。
宇野功芳氏の評論には、中学生時代から接してきてその歯に衣着せぬ批評には大いに影響されました。
宇野氏を偲び、敬愛を込めてこのサイトを作っていきます。