クラシック音楽の評論家の中で、宇野功芳氏ほどはっきりと論評する人はいなかっただろう。だからそんな宇野さんの歯に衣着せぬ論評を嫌う人もいたけど僕はもちろん大好きでした。そんな宇野さんの生前の活躍を偲んで、敬愛を込めて宇野さんの活動を振り返ってみたいと思います。
『 NO MUSIC, NO LIFE. 』 タワーレコードの公式通販
宇野功芳氏(1930-2016)は、日本のクラシック音楽の評論家でした。
宇野氏は評論家生活を60年以上に渡って活動されていました。
その批評は歯に衣着せぬもので、時には痛快で、時にはむかつき、時には感動し、笑ったり涙したものです。
僕は、中学生の時から宇野氏の評論に触れ、レコードを選ぶ際は、必ず宇野氏の評論を参考にしたものです。
モーツァルトは、1788年の夏に約1ヵ月半という短期間で3つの素晴らしい交響曲を完成しました。
しかもその3つの作品が、それぞれ性格が違うというからさすが天才モーツァルトの面目躍如的な交響曲集です。
さて、この3つの作品はなんのために作曲されたのか?
現在、それを証明する資料はないようです。
ただ、第40番ト短調においては、作曲から約半年以内の1789年2月までに改訂版が出ています。改定するということ自体は、モーツァルトは実際に聴いたからと考える方が普通ということではないか、ということです。
そんなことから第40番に関してはモーツァルトは生前聴いたということになっています。
ちなみに交響曲第39番が完成したのは1788年6月26日。第40番は約1ヵ月後の7月25日、第41番"ジュピター"は、なんと僅か2週間ほど後の8月10日に完成しています。
第39番は、一番無色で特徴は弱いと考えられますが、それだけに『白鳥の歌』のような清楚な魅力を持ち、第3楽章メヌエットの中間部は湖を漂う白鳥を想わせ、フィナーレも短い曲ですが、モーツァルトの傑作とされています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第39番 変ホ長調 K. 543
Symphony No. 39 in E-Flat Major, K. 543
1.(10:55) I. Adagio - Allegro
2.(07:12) II. Andante con moto
3.(03:58) III. Menuetto: Allegretto
4.(04:08) IV. Finale: Allegro
total(26:13)
ニューヨーク・フィルハーモニック - New York Philharmonic Orchestra
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
録音: December 1953 - March 1956, New York, United States
モーツァルト: 交響曲集 ブルーノ・ワルター 、 ニューヨーク・フィルハーモニック
ワルターがニューヨーク・フィルを指揮、1953年からモーツァルト生誕200年にあたる56年までニューヨーク・カーネギー・ホールで行なってきたモーツァルトの交響曲ライヴ、第25番、第29番、第35番「ハフナー」、第38番「プラハ」、第39番の全5曲。ワルターがニューヨークを拠点に引退前、活躍していた頃の手兵NYPとのモーツァルト交響曲ライヴ―この2枚組の価値を推し量れます。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第39番 変ホ長調 K. 543
Symphony No. 39 in E-Flat Major, K. 543
1.(08:19) I. Adagio - Allegro
2.(08:32) II. Andante con moto
3.(03:49) III. Menuetto: Allegretto
4.(05:21) IV. Finale: Allegro
total(26:01)
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 - Leningrad Philharmonic Orchestra
エフゲニー・ムラヴィンスキー - Yevgeny Mravinsky (指揮)
録音: 1972, Leningrad, Russia
“WARNER CLASSICAL”より、ムラヴィンスキーの有名な音源を集めたボックスが待望の復活です。“旧ERATO”レーベルから発売された際は、ローカル盤でそれ程流通状況は良いとは言えなかっただけに、今回のCD化は大歓迎です。ムラヴィンスキーが十八番とした作品がたっぷり収録。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第39番 変ホ長調 K. 543
Symphony No. 39 in E-Flat Major, K. 543
1.(10:13) I. Adagio - Allegro
2.(08:10) II. Andante con moto
3.(03:05) III. Menuetto: Allegretto
4.(05:51) IV. Finale: Allegro
total(27:19)
アムステルダム・バロック管弦楽団 - Amsterdam Baroque Orchestra
トン・コープマン - Ton Koopman (指揮)
コープマンの柔軟なリズムと呼吸による、美しさからユーモアまで自由自在に表現されたアイデア満載のモーツァルト。疾走するメヌエットやティンパニの遊びのセンス、意味深い対話の妙など、多彩な魅力がいっぱいです。
モーツァルトは、41曲というか50曲以上の交響曲を作曲したとされていますが、分かっているものでは短調で書かれたものは、第25番と第40番の2曲だけです。
初めて聴く人も魅了する哀愁を帯びた旋律は、ポピュラー音楽にも使われています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第40番 ト短調 K. 550
Symphony No. 40 in G Minor, K. 550
1.(07:31) I. Molto allegro
2.(07:45) II. Andante
3.(04:38) III. Menuetto: Allegretto
4.(05:10) IV. Allegro assai
total(25:04)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 - Vienna Philharmonic Orchestra
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
録音: 17 May 1952
ブルーノ・ワルター&ウィーン・フィル・ライヴ1948-1956
ブルーノ・ワルター(1876-1961)がウィーン・フィルを指揮したのは1907年1月21日、オットー・ニコライを記念する演奏会で、それ以来1960年5月29日、マーラー生誕100年を記念するウィーン芸術週間の開幕演奏会まで、189回の演奏会を指揮しています。若き日にウィーンを訪れ、ウィーン・フィルの類稀な響きに心を奪われたワルターは、それから半世紀以上経っても変わらぬサウンドを同フィルの伝統の賜物と称賛しています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第40番 ト短調 K. 550
Symphony No. 40 in G Minor, K. 550
1.(06:39) I. Molto allegro
2.(08:51) II. Andante
3.(05:10) III. Menuetto: Allegretto
4.(04:57) IV. Allegro assai
total(25:37)
コロンビア交響楽団 - Columbia Symphony Orchestra
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
録音: 1959年1月13日&16日
モーツァルト:交響曲第39番・第40番・第41番「ジュピター」
ブルーノ・ワルター(1876-1962)が最晩年の1957年~61年にかけて残したステレオ録音は、この20世紀最大の巨匠指揮者による膨大なディスコグラフィの中でも最重要の演奏であり、その長い音楽活動のさまざまな経験と深い洞察とが結実した、文字通り録音の「世界遺産」ともいうべき名盤ぞろい。これらは特別に組織されたコロンビア交響楽団との緻密なリハーサルとセッションを積み重ね、音響効果の優れたアメリカン・リージョン・ホールで最新鋭の機材・技術で収録されたステレオ初期の名録音でもあります。それらを1998年以来21年ぶりに新規リミックス&リマスターし、2020年度第58回「レコード・アカデミー賞」特別部門・特別賞を受賞した『ブルーノ・ワルター全ステレオ録音SA-CDハイブリッド・エディション』(全7巻・2019~20年発売)からの分売となる1枚です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第40番 ト短調 K. 550
Symphony No. 40 in G Minor, K. 550
1.(07:03) I. Molto allegro
2.(11:01) II. Andante
3.(03:37) III. Menuetto: Allegretto
4.(09:29) IV. Allegro assai
total(31:10)
アムステルダム・バロック管弦楽団 - Amsterdam Baroque Orchestra
トン・コープマン - Ton Koopman (指揮)
モーツァルト: 交響曲集 ブルーノ・ワルター 、 ニューヨーク・フィルハーモニック
コープマンの柔軟なリズムと呼吸による、美しさからユーモアまで自由自在に表現されたアイデア満載のモーツァルト。疾走するメヌエットやティンパニの遊びのセンス、意味深い対話の妙など、多彩な魅力がいっぱいです。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第41番 ハ長調 「ジュピター」 K. 551
Symphony No. 41 in C Major, K. 551, "Jupiter"
1.(12:57) I. Allegro vivace
2.(10:29) II. Andante cantabile
3.(05:17) III. Menuetto: Allegretto
4.(11:59) IV. Molto Allegro
total(40:42)
18世紀オーケストラ - Orchestra of the 18th Century
フランス・ブリュッヘン - Frans Bruggen (指揮)
モーツァルト 後期三大交響曲 フランス・ブリュッヘン 18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン晩年の超名盤が限定再生産!
2014年レコード・アカデミー賞「交響曲部門」を受賞した、モーツァルトの後期三大交響曲!
6月もあと数日となりました。
今年の6月は、梅雨明け前から異常な暑さで、100年に1度どころか150年に一度の暑さです。
まあ、こんな時は涼やかにモーツァルトでも聴きたいですね。
さて6月10日は、宇野功芳氏の命日でした。
2016年6月10日に86歳で死去。
そんなこともあり、宇野氏が愛したモーツァルトの名盤をご案内します。
モーツァルトの数多い交響曲の中でも短調で書かれたものは、第25番と第40番の2曲のみ。共にト短調で、しかもモーツァルトの全ての作品の中でも印象的な傑作です。
第25番は、弱冠17歳の時の作品ですが、緊密な構成と全曲にみなぎる迫力と効果的なオーケストレーションの素晴らしい作品です。
映画『アマデウス』の冒頭でも鳴り響き思わず映像に引き込まれた効果的な使い方が忘れられません。
宇野氏は、ワルター&ニューヨーク・フィルを第一に推しています。
56年のライブで、手に入りにくい録音ですが、2022年1月28日に復刻盤としてリリースされたのが嬉しいです。また後述する第38番"プラハ"も収録されているので嬉しさ倍増です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第25番 ト短調 K. 183
Symphony No. 25 in G Minor, K. 183
1.(07:40) I. Allegro con brio
2.(04:03) II. Andante
3.(03:35) III. Menuetto - Trio
4.(04:45) IV. Allegro
total(20:03)
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
ニューヨーク・フィルハーモニック - New York Philharmonic Orchestra
録音:1956年3月11日 カーネギー・ホール、ニューヨーク
※表記演奏時間は、54年12月にコロンビア響を指揮した時のデータです。
モーツァルト: 交響曲集<限定盤> ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィルハーモニック
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第25番 ト短調 K. 183
Symphony No. 25 in G Minor, K. 183
1.(04:44) I. Allegro con brio
2.(04:18) II. Andante
3.(03:54) III. Menuetto - Trio
4.(04:03) IV. Allegro
total(16:59)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 - Vienna Philharmonic Orchestra
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
録音: 26 July 1956, Live recording, Salzburg Festival, Austria
モーツァルト:交響曲第40番&第25番 ブルーノ・ワルター ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
合わせて、同年56年にザルツブルク音楽祭でのウィーンフィルとのライブも素晴らしいです。
完成は、1786年12月6日。プラハで上演された歌劇『フィガロの結婚』が大成功だったので、指揮者自身の指揮で上演して欲しいとプラハから依頼され、その前のコンサートで披露するために作曲されました。
個人的には、最後の三大交響曲よりも好きな曲で本当にワクワクさせてくれる作品です。
宇野氏一推しは、シューリヒト&パリ・オペラ管。
速いテンポで余計な色づけを排し、一息に運んだ演奏のようだが、即興的な表情の移ろいがすばらしく、そのニュアンスは千変万化している。まさに名人芸であり、これぞ理想のモーツァルトと絶賛したいと記しています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
Symphony No. 38 in D Major, K. 504, "Prague"
1.(09:47) I. Adagio - Allegro
2.(08:35) II. Andante
3.(05:18) III. Finale: Presto
total(23:40)
パリ・オペラ座管弦楽団 - Paris Opera Orchestra
カール・シューリヒト - Carl Schuricht (指揮)
録音: June 1963, Paris
モーツァルト:交響曲≪リンツ≫≪プラハ≫・第40番・≪ジュピター≫<タワーレコード限定>
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交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
Symphony No. 38 in D Major, K. 504, "Prague"
1.(16:40) I. Adagio - Allegro
2.(11:37) II. Andante
3.(07:52) III. Presto
total(36:09)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 - Vienna Philharmonic Orchestra
リッカルド・ムーティ - Riccardo Muti (指揮)
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」,第38番「プラハ」(ウィーン・フィル/ムーティ)
ムーティの快適で快い前進性があり、オーケストラの美感の素晴らしさが堪能できる名演。
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交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
Symphony No. 38 in D Major, K. 504, "Prague"
1.(09:15) I. Adagio - Allegro
2.(09:00) II. Andante
3.(04:50) III. Finale: Presto
total(23:05)
ニューヨーク・フィルハーモニック - New York Philharmonic Orchestra
ブルーノ・ワルター - Bruno Walter (指揮)
録音: 6 December 1954, New York, United States
モーツァルト: 交響曲集<限定盤> ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィルハーモニック
上記のシューリヒトを正反対のロマンティックな名演。
運営者
1957年、富山市生まれ。小学生の時、NHK交響楽団を指揮する岩城宏之氏を観てから、クラシック音楽に興味をもち、今日まできました。
現在、LP、CD、カセットテープを含めて約1000枚を所有しています。
好きな作曲家は、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスと硬派。
宇野功芳氏の評論には、中学生時代から接してきてその歯に衣着せぬ批評には大いに影響されました。
宇野氏を偲び、敬愛を込めてこのサイトを作っていきます。