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宇野功芳 指揮者 ベスト9

宇野功芳氏(1930-2016)は、日本のクラシック音楽の評論家でした。

宇野さんは評論家生活を60年以上に渡って活動されていました。
その批評は歯に衣着せぬもので、時には痛快で、時にはむかつき、時には感動し、笑ったり涙したものです。

僕は、中学生の時から宇野さんの評論に触れ、レコードを選ぶ際は、必ず宇野さんの評論を参考にしたものです。

さて、このトップページでは、宇野さんの偏愛する、いや敬愛する指揮者のベスト9をご案内します。

これは宇野さんの著書『クラシックの名曲・名盤』の中で、池内秀巳氏(九州産業大学教授)と指揮者ベスト・ナインというコラムで、次の9人を挙げています。

シューリヒト、ワルター、トスカニーニ、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、クレンペラー、マタチッチ、C・クライバー、ムラヴィンスキーです。

以下、この9名の略歴と宇野さんの推薦盤を記してみます。

 

アルトゥーロ・トスカニーニ

アルトゥーロ・トスカニーニ
Arturo Toscanini(1867-1957)
イタリア出身:指揮者

パルマ音楽院でチェロと作曲を学ぶ。1886年、演奏旅行中『アイーダ』の代役で指揮デビュー。プッチーニ『ボエーム』(1896年)等、数多くのオペラを初演。1898年~1903年、1906年~18年、1920年~29年、スカラ座音楽監督。1908年~15年、メトロポリタン歌劇場を指揮。1929年~36年、ニューヨークフィル首席指揮者。1937年から54年の引退まで、トスカニーニのために結成されたNBC交響楽団の指揮者を務めた。

レスピーギ「ローマ三部作」

彼のすべてのディスク中の最高傑作は、疑いもなくレスピーギの「ローマ三部作」である。
完全に結晶化された指揮ぶりが録音の古さをわすれさせ、まさに十年に一度出るか出ないかという、いかなるアンチ・トスカニーニ派をも沈黙させてしまう圧倒的な名演。

レスピーギ:ローマ三部作 「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」 アルトゥーロ・トスカニーニ

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ブルーノ・ワルター

ブルーノ・ワルター
Bruno Walter(1876-1962)
ドイツ出身:指揮者

ベルリンに生まれる。94年にハンブルク歌劇場の指揮者となりマーラーと出会い、ブルリンフィル、ウィーン国立歌劇場などの指揮台に立つ。その後ミュンヘン宮廷歌劇場、ベルリン市立歌劇場、ゲヴァントハウス管の音楽監督を務めるが、38年、ナチの追われれアメリカの亡命。1947年から49年までニューヨークフィルの音楽顧問。1956年に一時引退するが、彼のために組織されたコロンビア響とともに、数々の録音を残した。

ベートーヴェン交響曲第2番&第6番「田園」(コロンビア響)


ワルター指揮コロンビア響のベートーヴェンでは「第二」と「田園」はきわめつけである。「第二」の端正な造型の中にこめられた情感、「田園」の柔らかいリリシズム、いずれも同曲CD中、最高の出来ばえと言えよう。


ブルーノ・ワルター / ベートーヴェン:交響曲全集、ヴァイオリン協奏曲

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カール・シューリヒト

カール・シューリヒト
Carl Schuricht(1880-1967)
ドイツ出身:指揮者

ベルリンでレーガーとフンパーディンクに師事。20歳より指揮をはじめ、1912年から44年までヴィ―スバーデン市の音楽監督を務めた。その間、ベルリンフィル、ウィーンフィル、コンセウルトヘボウ管、スイス・ロマンド管などの客演指揮も行った。戦後はウィーンフィルやパリ音楽院管と関係が深く、シュトゥットガルト放送響の育成にも尽力した。

モーツァルト 交響曲第38番「プラハ」

二流のオーケストラと二流の録音システムにもかかわらず、演奏そのものはたいへん感動的である。風のようにすっと吹きすぎてゆくなかに、千変万化の即興的な表情がうつろう。シューリヒトの「プラハ」は聴くものの審美眼をためす。よほど耳の肥えた人でないとその真価はわからないかもしれない。


 

モーツァルト 交響曲第36番≪リンツ≫≪プラハ≫・第40番≪ジュピター≫ カール・シューリヒト  パリ・オペラ座管弦楽団

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オットー・クレンペラー

オットー・クレンペラー
Otto Klemperer(1885-1973)
ドイツ出身:指揮者、作曲家

現ポーランドのブレスラウ生まれ。フランクフルトとベルリンで学ぶ。マーラーの推挙でプラハ・ドイツ歌劇場の指揮者となり、以降、ドイツ各地の歌劇場指揮者を歴任。1927年から、ベルリン・クロール劇場の指揮者として名声を博すが、33年、ナチスに追放されアメリカに亡命。1954年からはフィルハーモニア管の首席指揮者に就任。EMIレーベルに数多くの録音を残した。

モーツァルトフィガロの結婚


どの曲もはなはだしくスケールが大きく、テンポが遅いため、まるで鈍行列車から見る景色のように、音楽の細部までが手にとるよるにわかる。人一倍激しい情熱が冷たい学者風の外面の中に収斂されるさまは、まさにクレンペラー独特の芸風であり、僕(宇野功芳)はこれを『情熱の氷づけ』とでも呼びたいのである。

モーツァルト オペラ集 オットー・クレンペラー  ニュー・フィルハーモニア管弦楽団  フィルハーモニア管弦楽団

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ヴィリヘルム・フルトヴェングラー

ヴィリヘルム・フルトヴェングラー
Wilhelm Furtwangler(1886-1954)
ドイツ出身:指揮者、作曲家

高名な考古学者を父に持ち、典型的な教養主義的教育を受ける。1915年のマンハイム歌劇場を皮切りに、ベルリン国立歌劇場(1920年)を経て、1922年ニキシュの後任としてベルリンフィルの常任指揮者となる。27年~30年にはウィーンフィルの常任指揮者も兼ねる。第二次大戦後、戦争犯罪人の嫌疑で2年間演奏を禁じられるが、1947年に楽壇に復帰。

ベートーヴェン交響曲第9番(バイロイト祝祭管1951年)

言うまでもなく「第九」の極め付きであり20世紀に記録された偉大なる遺産です。第二次大戦後、初めてバイロイト音楽祭が再開された初日に演奏された記念すべき演奏会の、20世紀音楽シーンの1ページを確実に飾る実況録音。深く曝想するピアニッシモから運身のフォルティッシモまで、熱く深い感動が時代を超えて溢る不滅の名盤です。2019年東京/愛知で開催された「クリムト展」においては、ウィーンの分離派会館を飾る壁画≪ベートーヴェン・フリーズ≫の精巧な複製による再現展示でBGMとして使用(展示室、音声ガイド、HPなど)。新規DSD11.2MHzマスターで鮮やかに甦った第九を、なじみ深い日本版オリジナルジャケットにした通常盤です。タワーレコードより

ベートーヴェン 交響曲第九番 「合唱」 (2019DSDニューマスター) ヴィルヘルム・フルトヴェングラー  バイロイト祝祭管弦楽団

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ハンス・クナッパーツブッシュ

ハンス・クナッパーツブッシュ
Hans Knappertsbusch(1888-1965)
ドイツ出身:指揮者


ボンとミュンヘンの大学で哲学を学び、同時にケルン音楽院で指揮法を習得。1910年にミュールハイム歌劇場でデビュー。その後、地方劇場を経て1922年、バイエルン国立歌劇場の指揮者に就任するものの、35年にはナチスによって同ポストを追放され、ウィーンに移って指揮をとるようになる。戦後はバイエルンに音楽監督として復帰し、バイロイトを中心に広く活躍する。

ブルックナー交響曲第8番(ミュンヘンフィル)

クナッパーツブッシュのブルックナー交響曲「第八番」。第四楽章の最後、作曲者は叡智の瞳を上げるが、暗い瞑想からわれにかえったブルックナーの眼前に拡がるのは、アルプスの威容であり、人間業を超えた大自然と神の創造の偉大さである。
クナッパーツブッシュは、ますます遅くなるテンポ、厚みを増すハーモニー、重く踏みしめるリズムで、オーケストラをこのうえなく雄大に鳴らす。その感動の深さは底が知れない。

クナッパーツブッシュ ブルックナー: 交響曲第8番(新規リマスター) <特別収録>ベートーヴェン 《フィデリオ》序曲 《レオノーレ》序曲第3番

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ロブロ・フォン・マタチッチ

ロブロ・フォン・マタチッチ
Lovro von Matacic(1899-1985)
ユーゴスラヴィア出身:指揮者


ウィーン少年合唱団を経てウィーン音楽院に学ぶ。1919年ケルン歌劇場でデビュー。1938年からベオグラードとベルリンの国立歌劇場(56~58)、フランクフルト歌劇場(61~65)、ザグレブ・フィル(70~80)の音楽監督を歴任。1965年に初来日後、NHK交響楽団の名誉指揮者として数々の名演を聴かせた。

ブルックナー交響曲第7番(チェコフィル)

ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 ロヴロ・フォン・マタチッチ  チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

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エフゲニー・ムラヴィンスキー

エフゲニー・ムラヴィンスキー
Evgeny Mravinsky(1906-1988)
ソビエト連邦出身:指揮者


端役俳優としてマリンスキー劇場に入り、その後、レニングラード音楽院でニコライ・マルコとアレクサンドル・ガウクに指揮を師事して次第に頭角をあらわし、1937年にはショスタコーヴィチの第5交響曲を初演。翌38年、第1回全ソ連指揮者コンクールに優勝し、同年レニングラードフィルの正指揮者となり、以降、亡くなるまで半世紀に渡って同オケを鍛え上げた。

ベートーヴェン交響曲第4番

ムラヴィンスキーは1973年に手兵レニングラード・フィルと初来日して、ベートーヴェン、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチなどを指揮しました。

その時の感想を宇野さんは次のように記しています。

どれもこれも完璧無類だったが、とくにベートーヴェンの交響曲「第四番」のすばらしかったこと!ワルターやフルトヴェングラーのレコードの印象も一瞬にして吹っ飛んだほどである。
異常に速いテンポ、仮借のない一直線の進行、鋭く切れるリズム、痛烈で厳しさの限りを尽くしたダイナミック、まさにリアリズムの極致であった。

LPレコード ベートーヴェン 交響曲第4番 ショスタコーヴィチ 交響曲第5番「革命」 リャードフ「バーバ・ヤーガ」, 他

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カルロス・クライバー

カルロス・クライバー
Carlos Kleiber(1930-2004)
ドイツ出身:指揮者

ベルリンで生まれたが、父の名指揮者エーリヒ・クライバーの事情からアルゼンチンに移住。戦後はヨーロッパに戻り、指揮者を志した。1966年からシュツゥットガルト、1968年からミュンヘンのオペラハウスで活躍を始め、1970年代には名声を確立した。1980年代後半からは極端に指揮回数が減った。

ヴェルディ「椿姫」

ヴェルディ:歌劇≪椿姫≫ハイライツ カルロス・クライバー

引用のコメントは、宇野功芳著『名演奏のクラシック』より

 


 

 

 

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宇野功芳の芸術

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1957年、富山市生まれ。小学生の時、NHK交響楽団を指揮する岩城宏之氏を観てから、クラシック音楽に興味をもち、今日まできました。
現在、LP、CD、カセットテープを含めて約1000枚を所有しています。
好きな作曲家は、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスと硬派。
宇野功芳氏の評論には、中学生時代から接してきてその歯に衣着せぬ批評には大いに影響されました。
宇野氏を偲び、敬愛を込めてこのサイトを作っていきます。

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